市場では、複数の要因が交錯し、相場の方向感を見極める上で複雑な状況が続いている。円安方向への圧力としては、中東情勢の緊張とそれに伴う原油価格の上昇が世界のインフレ懸念を強め、安全資産としてのドル需要を高めている点が挙げられる。また、日米間の金利差が依然として拡大傾向にあり、米国の金利が高水準で推移する一方で、日本の実質金利がマイナス圏にあることが、引き続き円の押し下げ要因となっている。さらに、米国の堅調な経済指標や労働市場の強さが米長期金利を支え、ドル買いを促進するとの見方も存在する。 一方で、円高方向への圧力も複数指摘されている。AI関連銘柄の急落をきっかけとした世界的な株安は、リスク回避の動きを加速させ、安全通貨としての円への需要を高めている。米長期金利の低下や、年内の米連邦公開市場委員会(FOMC)における追加利上げ観測の後退により、日米金利差が縮小するとの思惑がドル売り・円買いを誘発する可能性が指摘されている。加えて、フランスの政局不安や欧州債の利回り上昇といった欧州における金融不安が波及し、安全資産としての円需要を強める要因となることも警戒されている。 こうした市場環境の中、本日の予想レンジは156.2円から157.9円と見られている。上値は157.0円、157.1円、157.2円、さらに157.8円、157.9円、158.0円、158.4円、158.6円といった節目が上値抵抗として意識される。一方、下値は157.9円、157.8円、157.2円、157.1円、157.0円に節目があり、これらの水準で底堅さが示される可能性がある。特に156.2円の節目は下値支持線として注目される。 本日は、日本で9月の全国消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、ドイツ、ユーロ圏、米国で10月の製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が公表される。米国では10月のミシガン大学消費者態度指数・確報値も注目される。これらの経済指標の結果が、市場の金利見通しや景気認識に影響を与え、相場を動かす可能性がある。現在、米国の政局や政策に関する報道、地政学的リスク、日米の金利見通し、欧州経済の動向といった多様なリスク要因により、突発的な材料でレートが乱高下しやすい地合いにある。