中東情勢を巡る不透明感が継続しており、有事のドル買いが市場に作用しています。アジア時間には地政学リスクへの懸念からドル高が進行しましたが、欧州時間に入ると懸念は一部後退しました。原油価格の動向も中東情勢に連動し、エネルギーインフレリスクとして円相場に影響を与える可能性があります。 日米間の金利差拡大がドル優勢の主要因であり、特に2年物国債の利回りスプレッドの拡大が円安の推進力となっています。米国の金融政策に関しては、今後発表される個人消費支出(PCE)物価指数がインフレ加速を示すと予想されており、連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な金融引き締め姿勢を強化する可能性が市場で意識されています。一方、日本の金融政策については、日本銀行総裁が一時的なエネルギーショックが賃金や物価に波及する可能性を警告しており、これが6月会合後の追加金融引き締めへの期待を高めています。市場では6月に政策金利が引き上げられるとの見方が強まっています。しかし、日本国債のパフォーマンスは引き続き悪く、円が過去の介入後の上昇分を失い、物価のパススルー問題が深刻であるとの指摘もあります。 市場では当局による円買い介入の可能性が意識されており、これが投機的な円売りの上値を抑える材料となっています。しかし、介入の再開は限定的と見られており、実行への期待が薄いため、円買い圧力は弱まっているとの見方もあります。現在、過去に介入が実施されたとされる水準に接近している状況です。 今後発表される経済指標への注目も高まっています。米国では、4月の個人所得、個人消費支出(PCE)、PCEデフレーター、コアPCEデフレーター、新規失業保険申請件数、耐久財受注、国内総生産(GDP)改定値、新築住宅販売件数など、多くの重要経済指標の発表が控えており、これらがドルの方向性を左右する可能性があります。特にPCE物価指数はFRBが重視するインフレ指標です。日本でも、5月の東京都区部消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、日本銀行の金融政策判断に影響を与える可能性があります。米経済指標の弱さや米長期金利の低下があれば、日米金利差が縮小し、円が相対的に買われる可能性も指摘されています。 全体的な相場の地合いとしては、中東情勢の不透明感による有事のドル買いが優勢であり、日米金利差拡大によるドル優勢の投資マインドが継続しています。介入警戒感は存在するものの、その効果や再開への期待は限定的と見られています。一部では、主要国債券カーブのスティープ化とスタグフレーション懸念が、円に買いを呼び込むシグナルを生成しているとの見方も存在します。 現在、159.5円付近で推移しています。上値は159.7円、159.8円、160.1円、160.7円に節目があり、特に160.0円は介入警戒レベルとして意識されています。これらの水準では上値が重い展開となる可能性があります。一方、下値は159.4円、159.3円、159.2円、159.0円、158.9円、158.8円、158.2円、158.1円といった節目が位置しており、これらの水準では底堅さが示される可能性があります。