中東情勢の緊迫化とそれに伴う原油価格の急騰が、日本経済の交易条件悪化や貿易赤字拡大への懸念を強め、円売りを誘発しています。この状況は、ドル買い円安の主要な要因として市場で認識されています。また、米国とイランの軍事衝突拡大による地政学リスクの上昇は、「有事のドル買い」を強め、安全資産としてのドル需要を高めています。原油高を背景とした米国のインフレ再燃懸念や米長期金利の上昇も、ドル高円安圧力を継続させる要因となっています。 一方で、円高圧力も意識されており、158円台から159円台は過去のレートチェック水準として為替介入への警戒感が強く、政府・日本銀行による円安けん制意識が上値を抑える可能性があります。さらに、米雇用統計で非農業部門雇用者数の減少や失業率の悪化が確認された場合、米景気減速懸念が高まり、一時的にドル売り円買いが出る展開も想定されます。日本銀行の追加利上げ観測や通貨当局による過度な円安警戒姿勢も、円売りが進みにくい状況を作り出しています。 テクニカルな観点では、上値の節目として158.20円、158.50円、158.70円、そして159.00円付近が意識されています。これらの価格帯を突破すると、159円台以降には目立った節目が存在しないため、急上昇する可能性も指摘されています。下値の節目としては、157.70円、157.50円、157.40円付近が注目されます。 市場では、日本の10-12月期四半期実質国内総生産(GDP 改定値)が本日8:50に発表される予定であり、改定値が上方修正されれば円を支援する可能性があります。また、本日23:00に発表される米国の2月中古住宅販売件数も、市場の動向に影響を与える可能性があります。米国の利上げ期待は後退しているものの、インフレ懸念と原油高が長期金利を押し上げる可能性があり、今後の金融政策の方向性を見極める上で重要な要素となります。過去のボラティリティ上昇局面では円が買われる傾向が見られましたが、今回は円安が進行しており、キャリートレードの巻き戻しによる円高の可能性も一部で指摘されています。