現在の市場では、米ドルが軟化する一方で、円はドル安の恩恵を十分に享受できていない状況にある。トランプ米大統領によるイラン攻撃「ほぼ終結」発言を受け、有事のドル買いが巻き戻され、157円台への下落圧力が強まっているとの見方が優勢である。また、G7による石油備蓄放出検討や供給不安の後退観測から原油価格が急落し、資源高によるドル買い・円売りの流れが後退していることも、ドル円の上値を抑制する要因となっている。一方で、中東情勢の緊迫化やイラン新指導者選出による軍事衝突の長期化懸念は、有事の安全資産としてドルが買われ、円が売られる構図となり、ドル円を押し上げる要因として引き続き意識されている。特に、日本のエネルギー供給が中東に大きく依存していることから、ホルムズ海峡を通る石油輸送に関するイランの警告は市場の緊張を維持させている。テクニカル面では、上値の節目として158.10円、158.50円、158.90円が意識され、さらに159.30円、159.80円といった水準も上値抵抗となる可能性がある。下値については、157.60円、157.20円、157.10円が底堅さを示す水準として注目され、156.80円、156.10円といった水準も下値支持となる可能性がある。金融政策に関しては、日本の堅調なGDPデータと個人消費が日本銀行の政策正常化を支持するとの見方があるものの、市場では日本銀行がさらなる利上げを遅らせるとの予想が広がっている。米連邦準備制度理事会も金利をより長く据え置く可能性が指摘されている。本日は、8:50に日本の2月国内企業物価指数、21:30に米国の2月消費者物価指数(CPI)およびCPIコア指数、そして27:00に米国の2月月次財政収支の発表が予定されており、これらの経済指標が市場の動向に影響を与える可能性がある。