対円で、ドルは上昇圧力を受けています。この背景には、日本銀行の金融政策に対する市場の不透明感と日本の経済指標の弱さが挙げられます。具体的には、金融政策決定会合の意見概要において、インフレ圧力の高まりに対する懸念が示された一方で、今後の利上げペースについては委員会内で意見の相違があることが明らかになり、円に対する投資家の信頼感が損なわれています。さらに、日本の6月経常収支が1年半ぶりに923億円の赤字を記録したことも、円売り圧力として作用しています。この赤字は、海外投資家への配当支払いが増加したことが主な要因とされています。 一方で、ドルを支援する要因としては、地政学的な緊張の高まりがあります。中東情勢の緊迫化、特に米国とイラン間の対立が戦略的な段階に入り、ホルムズ海峡周辺での軍事的な動きが市場の警戒感を高めています。これにより、広範なリスク回避の動きから安全資産としてのドル需要が堅調に推移しています。 しかし、ドルの上値は重い展開も予想されます。米国の金融政策に関しては、先日発表された非農業部門雇用者数が予想外に減少し、過去の数値も下方修正されたことで、連邦準備制度理事会(FRB)による短期的な利上げ期待が後退しています。市場では、今後の消費者物価指数(CPI)などのインフレデータが弱ければ、利上げ観測がさらに後退し、米金利の低下を通じてドル売り・円買いが進む可能性が高いとの見方が優勢です。 FRB当局者からは、インフレリスクに対する懸念が引き続き示されており、金融引き締め的な政策スタンスを維持する姿勢が強調されています。ある当局者は、インフレ期待が安定しているとしながらも、そのアンカーが失われるリスクに言及し、コアインフレが2.5%から3.0%の間にあると評価しています。また、必要に応じて市場を驚かせる用意があるとも発言しており、金融情勢が依然として緩和的であるとの認識を示しています。ドルの準備通貨としての地位は揺るぎなく、米国経済の成長力とイノベーションがドルの強さを支えるとの見方も示されています。 市場では、為替介入への警戒感も円高圧力として意識されています。現在、158.3円付近で推移しており、上値では158.7円の節目が意識されます。この水準を超えると、158.8円、158.9円が次の抵抗線となり、さらに上には159.3円、159.6円に複数の節目が集中しています。これらを突破した場合、160.1円、160.3円、160.6円、160.9円といった水準が上値の重しとして控えています。最も強い抵抗帯としては、161.3円付近に複数の節目が位置しています。 一方、下値については、157.7円から157.8円にかけての節目が意識されます。この水準を下抜けた場合、157.1円が次の支持線となります。さらに下には156.8円、156.7円、156.6円、156.5円といった水準が控えており、底堅さを示す可能性があります。最も重要な支持線は156.3円、そして155.2円の節目となります。全体としては、米国の金融政策を巡る思惑と日本の経済指標の弱さが交錯する中、地政学リスクがドルを支える一方で、米国の利上げ観測後退と為替介入警戒感が円高方向への重しとなっています。米政局・政策報道、地政学的リスク、米日金利見通し、欧州経済見通し変動といったリスクにより、突発的な材料でレートが乱高下しやすい状況にあるため、大きな取引には注意が必要です。