現在、米国の利上げ観測と長期金利の上昇を背景とした日米金利差の拡大が、投資家のドル買い・円売り圧力を強める主要な要因となっています。しかし、今後の米国連邦公開市場委員会(FOMC)後の見通し変化や、連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利据え置き、米長期金利の低下が進めば、ドル売り・円買いが進む可能性も指摘されています。 日本銀行は政策金利を1.0%に引き上げたものの、主要10カ国(G10)の中で実質金利は依然として最低水準の一つであり、円を実質的に支えるには至っていません。日銀は追加利上げの政策バイアスを維持しているものの、利上げサイクルの加速を示す兆候は見られず、より明確なタカ派的転換がなければ円の反転を維持することは難しいとの見方が市場には存在します。過去の日銀会合議事録からは、一部の理事会メンバーがインフレのオーバーシュートを防ぐため、より迅速な利上げを支持していたことが示唆されています。 円が対ドルで過去40年間の安値水準に近づき、161.9円付近で推移する中で、政府・当局による為替介入への警戒感が根強く、日本の財務大臣は「通貨の動きに対応する準備がある」と繰り返し発言しています。この介入警戒感が円高圧力として意識され、上値を抑える要因となっています。 地政学リスクも円相場に影響を与えています。中東情勢の不確実性や原油価格の上昇、ホルムズ海峡を通じたエネルギー供給の混乱が日本の交易条件を悪化させ、輸入コスト増を通じて円安圧力を強めています。地域の緊張が高まっていることが、日銀のさらなる金融引き締め期待を覆い隠す形となっています。 市場の地合いとしては、米国の金利差拡大を背景としたドル買い・円売りが優勢であるものの、当局による介入への警戒感は依然として存在し、円高圧力として意識されています。日銀の金融引き締めにもかかわらず、円は依然として軟調であり、ファンディング通貨としての性格が強いと見られています。また、米政局・政策報道、地政学的リスク、米日金利見通し、欧州経済見通し変動といった複合的なリスク要因により、突発的な材料でレートが乱高下しやすい状況です。週明けや祝日など市場参加者が限られる局面では、流動性低下により急騰後の巻き戻しが発生しやすく、一時的な円高が出やすいとの見方も示されています。 このような円安圧力が優勢な中で、上値では161.0円に節目が存在します。これを上抜けると、161.2円、161.3円が意識されます。さらに161.5円には前取引日の高値と重なる節目があり、その上には161.7円の節目が控えています。予想レンジの上限である161.8円も上値抵抗として機能する可能性があります。特に162.0円は、過去の高値に迫る水準であり、当局の動きを警戒する声も聞かれる重要な節目として注目されています。市場の見方では、この水準を突破した場合、その上には目立った節目が少ないため、上値が軽くなる可能性があります。 一方、下値については、161.0円に前取引日の安値が意識されます。これを下回ると、160.8円に複数の節目が集中しています。さらに160.7円、160.6円が下値支持線として機能すると見られています。予想レンジの下限である160.6円を下抜けた場合、160.1円、そして心理的節目である160.0円に複数の節目が存在し、下値を支える可能性があります。