市場は、米国の経済指標と日米の金融政策、そして地政学的な要因によって形成されている。 米国では、直近の雇用統計が市場予想を大幅に下回り、非農業部門雇用者数の減少と過去の数値の下方修正が確認された。これに伴い、平均時給の伸びも鈍化しており、労働市場の冷え込みが示唆されている。これらのデータを受け、市場では連邦準備制度理事会(FRB)が9月に金融引き締めを開始するとの期待が後退している。一部の市場参加者からは、米国の政策に対する不信感が高まっているとの見方も出ている。また、ホルムズ海峡を巡る緊張緩和の動きは、原油供給の増加と価格下落につながり、インフレ加速リスクの低下、ひいてはFRBの金融引き締め確率の低下を促す可能性がある。米国の雇用統計は、ドルの動向に引き続き影響を与える主要な要因として注目されている。 一方、日本では、当局が過度な円安に対抗するため、米国と協調して外国為替市場に介入した。日本の財務当局者は、必要であれば米国とのさらなる介入を躊躇しないと表明している。しかし、過去の介入効果の持続性については、市場で懐疑的な見方が一部に存在している。一方で、協調介入と当局の警告、日本の潤沢な外貨準備を考慮すると、介入効果に対する懐疑論は時期尚早との指摘もある。円の基調的な弱さの背景には、日米間の金利差の拡大、財政リスクの上昇、エネルギー・輸入コストの高止まりといったファンダメンタルズ要因が挙げられる。国内経済データでは、日本の家計支出が予想に反して減少し、消費需要の低迷が示された。日本銀行(BOJ)の金融政策正常化ペースについては、市場で様々な見方が交錯している。一部では、BOJがより速いペースで利上げを行う可能性が指摘されており、7月のBOJ会見では総裁がこれまでになくタカ派的な発言をしたとの見方もある。しかし、他の市場参加者は、BOJの政策委員会メンバーの多くがそこまでタカ派的ではないと見ており、緩やかな正常化を想定している。現在、市場では9月のBOJ利上げの可能性が織り込まれつつある。 全体的な市場の地合いとしては、介入後の円高は一部で巻き戻されており、介入単独では円安の根本的な要因に対処しきれないとの認識が広がっている。金利差を背景としたキャリー取引が再び円に圧力をかける可能性があるとの見方もある。また、一部の市場参加者は、日本国債と原油のインターマーケットモデルが2020年以降、円にとって持続的にネガティブな背景を示していると指摘している。 こうしたファンダメンタルズ要因が交錯する中、価格は以下の節目を意識した動きとなっている。現在、157.4円付近で推移している。上値抵抗線としては、157.7円、157.9円、そして158.7円の節目が意識される。特に159.6円付近は複数の節目が集中しており、厚い上値抵抗帯として機能する可能性がある。一方、下値支持線としては、157.3円、157.0円の節目が意識される。これを下抜けると、156.8円、156.3円、そして155.2円が重要な下値支持線として注目される。長期的な視点では149.0円も下値支持線として挙げられている。