市場サマリー
現在、地政学リスクと主要国金融政策の方向性が相場の主な焦点となっている。中東情勢の長期化は原油価格の上昇と有事のドル買いを促し、エネルギー輸入国の負担増大や資金フローを通じて円が相対的に売られやすい状況が続いている。また、米国の利上げ期待や長期金利の上昇が米ドル需要を強め、日米間の金利差拡大が投資家の円売りを誘っている。日本の実質金利が大幅なマイナス圏にとどまっていることも、キャリー取引や海外投資による円売りを継続させ、長期的な円安を助長する要因となっている。
一方で、為替相場が160円台に達した場合の為替介入への警戒感が強く、これが上値を抑える要因となっている。米国とイランが停戦合意に達したとの報道は、インフレ懸念と高金利への警戒感を和らげ、米ドルを軟化させている。しかし、米大統領がイランとの最終的な核合意に至らなかった場合には軍事攻撃を再開する可能性を示唆しており、地政学リスクの再燃には警戒が必要である。米連邦準備制度理事会は12月に政策金利を据え置く可能性が高まっているとの見方が強まっており、金利据え置きの「様子見」モードにあると見られている。一方、日本銀行は火曜日に政策金利を31年ぶりの高水準に引き上げると広く予想されており、市場ではこの利上げがほぼ織り込み済みであるものの、今後の利上げのタイミングとペースに注目が集まっている。日本銀行が追加利上げを決定したり、タカ派的なスタンスを示したりすれば、日米金利差が縮小し、金利面で円の魅力が高まって円高圧力が強まる可能性もある。
現在、160.2円付近で推移しており、上値は160.3円、160.4円、160.5円が意識される節目となる。さらに上には160.7円、161.0円の節目が存在し、この価格帯で値動きが停滞しやすい。一方、下値は160.0円、159.9円、159.8円が意識される。その下には159.6円、159.4円、159.3円の節目があり、この周辺で底堅さが示される可能性がある。さらに158円台では158.9円、158.5円、158.2円といった節目が位置しており、下げ渋る展開となる可能性がある。
今週は日本銀行の金融政策決定会合と総裁会見、米連邦公開市場委員会(FOMC)の1日目が予定されており、これらの結果や要人発言が相場に大きな影響を与える可能性がある。また、米国のニューヨーク連銀製造業景気指数、鉱工業生産、NAHB住宅市場指数、住宅着工件数、建設許可件数などの経済指標、ユーロ圏の鉱工業生産やZEW景況感調査、欧州中央銀行総裁の発言も市場の動向を左右する材料となる。米政局・政策報道、地政学的リスク、日米金利見通し、欧州経済見通しの変動といった突発的な材料により、レートが乱高下しやすい状況が続いている。