市場サマリー
日米間の金利差拡大が構造的な円売り圧力となり、ドル買いが優勢な状況にある。米国の利上げ観測や長期金利の上昇がドル金利の優位性を保ち、資金がドル買い・円売りに傾きやすい環境が続いている。
金融政策の方向性の違いが主要なファンダメンタルズ要因として挙げられる。米連邦準備制度理事会(FRB)は緩和バイアスを撤回し、2026年の政策金利見通しをタカ派的に維持しており、これがキャリートレードの利益を支え、ドル高を助長している。一方、日本銀行は6月に利上げを実施したものの、その効果は限定的と評価されており、日米間の金利差は依然として大きく開いている。日本銀行の審議委員からは、中東紛争によるインフレリスクへの注目や、数ヶ月に一度の利上げ、必要に応じた利上げ加速の用意があるべきとの発言も聞かれるが、市場は7月末の金融政策決定会合での政策金利据え置きを予想している。
また、中東情勢の不透明化もドル買いを誘う要因となっている。米イラン協議の不確実性や原油供給不安が地政学リスクを高め、安全資産としてのドル需要を押し上げ、円安を助長している。
一方で、円高圧力となる要因も存在している。最も注目されるのは、日本当局による為替介入への強い警戒感である。現在、161.8円付近で推移しており、特定の水準に接近する中で、当局者からは必要に応じて適切な措置を講じるとの発言があり、実際の円買い介入観測がドルの上値を抑える可能性がある。しかし、国際的な慣例に基づく介入の制約も指摘されており、当局の動きは慎重になるとの見方もある。
経済指標の動向も相場に影響を与える。米国の主要経済指標、特に非農業部門雇用者数や賃金データが市場の注目を集めており、これらの結果が弱ければ、FRBの利上げ期待が後退し、米長期金利の低下を通じてドル安・円高が進む余地がある。また、原油価格の下落がインフレ見通しを和らげ、利上げ観測を後退させることもドル売り・円買いにつながるリスクがある。日本のTankan調査の結果が軟調であれば、日本銀行の追加引き締め余地の少なさが示され、金利差拡大が維持される要因となる可能性もある。
現在、161.8円付近で推移している。上値については、161.9円、162.0円、162.1円の節目が意識される。さらに上には162.2円、162.5円、162.9円、163.0円、163.6円、164.2円といった節目が存在し、上値抵抗として機能する可能性がある。下値については、161.7円、161.6円、161.4円、161.3円、161.2円の節目が下支えとなる可能性がある。さらに下には161.0円、160.7円、160.6円、160.3円、160.0円の節目が位置しており、これらの節目を下抜けた場合、158.5円、156.5円が次の下値支持線として注目される。
相場の地合いとしては、日米金利差や地政学リスクを背景としたドル買い・円売りの流れが根強いものの、日本当局による為替介入への警戒感が上値を抑制する綱引きの状態にある。市場は介入を一時的な押し目買いの機会と捉える傾向もみられる。米政局・政策報道、地政学的リスク、米日金利見通し、欧州経済見通し変動といった突発的な材料により、レートが乱高下しやすい状況が続いているため、市場参加者は慎重な姿勢を保っている。