市場サマリー
米国のインフレデータ、特に消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことで、連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利上げ観測が後退し、米ドルに下押し圧力がかかっています。しかし、ニューヨーク連銀総裁がインフレは依然として高すぎるとの見解を示しており、金融引き締めへの警戒感は完全に払拭されていません。
一方、日本の金利は依然として低水準にあり、日米間の金利差が円安の主要な要因として機能し続けています。この金利差を利用したキャリートレードが円の脆弱性を高めています。日本の経済状況については、機械受注は前月比で減少したものの、第三次産業活動指数は上昇し、サービス部門の回復を示しています。高市首相は、国内投資の強化と国際競争力の向上が円の信頼維持に不可欠であると強調し、強い経済を築く緊急性を訴えています。しかし、日本の財政懸念や政府の拡張的な財政計画も円に重圧をかけています。政府は国内投資の促進、安定した債券市場、そして円安の是正を望む一方で、日本銀行は債券市場を混乱させることなく政策の正常化を進めるという複雑な政策課題に直面しています。
地政学的なリスクも相場に影響を与えています。米国とイラン間の対立激化やホルムズ海峡に関する米大統領の発言が原油価格を押し上げており、原油輸入国である日本経済にとっては輸入コストの増加を通じて円安圧力を強める要因となっています。
市場の地合いとしては、円が40年ぶりの安値圏で推移していることから、日本の当局による為替介入への警戒感が引き続き存在しています。しかし、これまでの介入は一時的な効果に留まり、根本的なトレンド転換には至っていないとの見方が優勢です。政府系年金基金(GPIF)が国内資産への配分を増やすことで、構造的な円買い需要が生まれるとの期待がありましたが、当面その計画がないとの報道が、円の支援材料としての期待を後退させました。GPIFは政治的な意図ではなく、年金受給者のための長期的なリターンを追求する独自の使命を持つため、資産配分の変更は容易ではないとの認識が市場に広がっています。現在、市場は162円台を超えて上昇する局面では、当局の介入リスクが高まる「危険な水域」に入っていると認識しており、ポジションの偏りに対する警戒感が見られます。
現在、162.1円付近で推移しています。上方向では、162.2円に複数の節目が集中しており、上値抵抗として意識されます。この水準には、過去の終値や買いのストップロスなどが観測されます。さらに上では、162.5円、162.7円、162.8円、そして163.0円が節目となるでしょう。下方向では、162.0円が心理的な節目として強く意識されており、売りのストップロスも観測されます。この水準は過去に反発が見られた安値圏でもあります。この下には、161.9円、161.8円、161.6円が下値支持として控えており、さらに下では、161.4円、161.2円、161.0円が節目として意識されます。